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【症例】インプラント治療に際し、骨の厚みが不足していたため、より外科的な侵襲が少ないソケットプリザベーションを選択した症例

症例写真

治療前

治療後

症例の詳細

治療内容

残根状態の左上7番周囲に切開を加え、歯周組織を極力傷つけぬよう愛護的に剥離を行った上で抜歯を行った。抜歯窩に残っている肉芽組織や軟組織を完全に取り除き、人工の骨補填材(Bio-Oss)を緊密に充填した。そのあと骨組織が再生するための足場を作るために、余剰な軟組織が入り込んだり、細菌感染しないようメンブレンで遮断し緊密に縫合を行った。

患者様の状態・要望

患者様は60歳代女性。左上7番は残根状態で保存不可能な状態でした。同部位に対して患者様はインプラント治療を希望されたため、CTにて検査したところ、根尖部に透過像は認められず、また残存骨の幅は十分量観測できたが、垂直的な高さは抜歯を行うことによりインプラントを埋入するために十分な骨量の確保は難しい状態でした。
このような同部位に対してインプラント治療を行う場合は、次のような治療法を検討します。
■上顎洞底挙上術(サイナスリフト・ソケットリフト)
骨の厚みが不足していてインプラント治療ができない場合に、上顎洞粘膜を鈍的に上方へ押し上げて人工の骨補填材を填入することで、インプラント治療に必要な骨量を確保する方法
適応症:歯槽骨の垂直的な高さが5㎜以下の場合
メリット:すでに抜歯が行われて、骨吸収が進んでいる場合にも同処置との併用でインプラント治療が行えるようになる
デメリット:上顎洞粘膜を触れることで感染のリスクがある

■歯槽提温存術(ソケットプリザベーション)
抜歯と同時に抜歯窩に人工の骨補填材を填入し、骨補填材が漏出しないよう、コラーゲンの遮断膜(メンブレン)にて抜歯窩を保護することで、抜歯後の歯槽骨の吸収を最小限に抑える方法
適応症:保存不可能と判断された歯が残存している場合
メリット:上顎洞底粘膜を触れる必要がある上顎洞底挙上術と比べて外科的な侵襲を抑えることができる
デメリット:歯槽骨の吸収程度によっては追加処置として上顎洞底挙上術が必要な場合がある

今回の患者様の場合、以前に行った抜歯処置後になかなか痛みや腫れが引かなかった経験より、より外科的な侵襲の少ない処置を希望されていました。そのため、外科的な侵襲が上がるソケットリフトよりも、上顎洞粘膜を触れる可能性が低くなるソケットプリザベーションを希望されました。患者様にはソケットプリザベーション後の治癒状態によってはソケットリフトが必要となる可能性があることを了承いただいた上で治療していくこととなりました。

治療費用

55000円(税込)エムドゲイン併用の場合+33000円

治療期間

総治療期間:10~11か月
ソケットプリザベーション:6か月
インプラント治療:4~5か月

注意事項(主なリスク・副作用)

・抜歯処置による痛み・腫れ・出血
・ソケットプリザベーションを行ったとしても、後の検査で骨量が足りず、ソケットリフトが必要となる場合がある

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千葉県 柏市、南柏の歯医者 ウィズ歯科クリニック

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04-7145-0002

ドクターのコメント

今回のケースは抜歯を行うことによってインプラントを埋入するのに十分な高さが確保できなくなる可能性が高いと診断しました。インプラント埋入するのに十分な高さが取れないと上顎洞挙上術であるソケットリフトが必要になると副鼻腔の骨壁に穴を開けて副鼻腔に処置を行っていかなければなりません。当院では副鼻腔に対する処置ももちろん行っていますが、患者様はできるだけリスクと痛みが出ないようにしてほしいとおっしゃっていたので、ソケットリフトを行うことを回避できる可能性が高いソケットプリザベーションを説明しました。

処置後のパノラマ・CTよりBio-Ossは安定できていると推測されます。これから1カ月ほど消毒と他の部位の治療を行いつつ経過を追っていきます。

これからも技術と知識の研鑽に努め、患者様に満足していただけるよう日々精進していきます。