転んで歯をぶつけた!受診した方がいいケースとは?

皆さん、こんにちは!イオンモール柏の向かいにあるウィズ歯科クリニックの日本小児歯科学会専門医の根本です。

お子さまが転んで前歯をぶつけたとき、見た目に大きな変化がなくても、歯の根や神経、周囲の骨にダメージが及んでいることがあります。出血が止まったから大丈夫と判断せず、歯の揺れや色、噛み合わせを確認することが大切です。今回は、受診を急ぐ症状や家庭での応急処置、治療後の注意点を小児歯科の視点から解説します。

転んで歯をぶつけたときに確認したいこと

◎まずは全身の状態を落ち着いて確認する

転倒後は、歯だけでなく頭や顔を強く打っていないかを確認します。意識がぼんやりしている、繰り返し吐く、強い頭痛がある、けいれんを起こした、鼻や耳から透明な液が出ているといった症状があれば、歯科より先に救急外来や脳神経外科などへの受診が必要です。また、傷口からの出血が多い場合や、唇・頬が大きく腫れて呼吸しにくそうな場合も、速やかに医療機関へ相談してください。

◎口の中と歯の位置を確認する

全身状態に問題がなければ、明るい場所で口の中を確認します。「前歯をぶつけたが、どこを見ればよいのかわからない」という保護者の方は、左右の歯を比べてみましょう。歯が内側や外側にずれている、以前より長く見える、歯茎の中へめり込んで短く見える、噛んだときに先に当たるなどの変化は、歯が動いた可能性を示します。

歯を指で強く押したり、揺らしたりする必要はありません。軽く口を閉じてもらい、普段と同じ噛み合わせかを確認する程度にしてください。歯茎から出血している場合は、清潔なガーゼを当てて軽く圧迫します。数分たっても出血が続く場合や、傷が深い、歯茎が裂けている場合は早めの診察が必要です。

また、口を開けにくい、顎を動かすと強く痛む、上下の歯が急に合わなくなった、顎の形が左右で違って見える場合は、顎の骨に損傷がある可能性も考えます。頬や顎を強く打ったときは、歯だけの問題と決めつけず、口腔外科を含む医療機関へ相談しましょう。

◎唇や頬の傷も見落とさない

転倒では、歯が唇に当たって傷ができることがあります。唇を切ったときは、流水で汚れを落とし、清潔なガーゼで圧迫してください。傷が深く開いている、異物が入り込んでいる、止血しにくい場合は縫合などが必要になることがあります。

歯が欠けたのに欠片が見つからない場合は、唇や頬の中に入り込んでいることもあります。小さな傷に見えても、歯科医院では必要に応じて画像検査を行い、異物の有無を確認します。無理に傷の中を探ると出血や感染につながるため避けましょう。

歯科医院を早めに受診した方がよいケース

◎歯が欠けた、ひびが入った

歯が欠けた場合は、欠け方によって対応が異なります。表面が少し欠けただけに見えても、鋭い部分で舌や唇を傷つけたり、内部にひびが広がっていたりすることがあります。欠けた面に黄色っぽい部分が見える場合は象牙質、赤い点や出血が見える場合は歯の神経まで達している可能性があります。

特に冷たい物で強くしみる、何もしていなくても痛む、眠れないほど痛む場合は、神経に炎症が及んでいることが考えられます。欠けた歯の破片が見つかったら、乾燥させずに牛乳や保存液へ入れて持参してください。状態によっては破片を接着できる場合がありますが、適応は診察後に判断します。

歯のひびは肉眼では確認しにくく、痛みの出方だけで深さを判断することはできません。歯科医院では光を当てる検査や画像検査、冷たい刺激への反応などを組み合わせ、神経の状態を確認します。受傷直後は一時的に反応が弱くなることもあるため、すぐに神経の処置が必要とは限らず、経過を見ながら判断します。

◎歯が揺れる、位置がずれた

ぶつけた後に歯が大きく揺れる、傾いている、浮き上がっている、歯茎へ入り込んでいる場合は、歯を支える組織が傷ついている可能性があります。無理に元の位置へ戻そうとせず、そのままの状態で受診してください。永久歯では、位置を整えて隣の歯と固定する処置を検討することがあります。

乳歯の場合は、下に控えている永久歯への影響を考えながら治療方針を決めます。乳歯と永久歯では対応が異なるため、自己判断で処置しないことが重要です。痛みが少なくても、歯の位置が変わっている場合は当日中を目安に小児歯科へ連絡しましょう。

◎歯が抜けた

歯が抜けた場合、まず乳歯か永久歯かを確認します。抜けた乳歯を元に戻すと、下で育っている永久歯を傷つけるおそれがあるため、原則として戻しません。一方、永久歯が完全に抜けた場合は、歯の根の表面を守りながら、できるだけ早く歯科医院へ運ぶことが重要です。

抜けた永久歯は白い頭の部分を持ち、根には触れないでください。汚れていてもこすらず、可能であれば牛乳や歯の保存液に浸します。水道水に長時間入れたり、ティッシュに包んで乾燥させたりするのは避けましょう。歯を戻せるかどうかは、抜けてからの時間や歯の状態、患者さまの年齢などを踏まえて判断します。

◎見た目に変化がなくても痛みが続く

外傷直後は異常が目立たなくても、数日から数週間後に歯の色が灰色や茶色へ変化したり、歯茎が腫れたりすることがあります。これは歯の神経や根の周囲で問題が起きているサインの可能性があります。また歯を軽く噛んだときの痛みが続く、歯茎にできものができる、発熱を伴う場合も受診が必要です。

受診までの応急処置と治療後の注意点

◎患部を清潔にして冷やす

口の中に砂や汚れが入っている場合は、無理のない範囲で水を含み、静かに吐き出します。強いうがいは出血を増やすことがあるため避けてください。腫れや痛みがあるときは、保冷剤を布で包み、口の外側から短時間ずつ冷やします。氷を歯や歯茎へ直接当て続けると刺激になるため注意しましょう。
食事はやわらかく刺激の少ない物を選び、傷ついた歯で噛まないようにします。熱い物、硬い物や香辛料の強い物は痛みや出血を招くことがあります。痛み止めを使用する場合は、年齢や体重に合ったものを用法どおりに使用してください。

◎受診時に伝えたい情報

診察では、転んだ時刻、場所、ぶつけた物、歯が抜けていた時間、どのように保存したかなどが重要です。可能であれば、受傷直後の口元や現場の写真も参考になります。土や道路でけがをした場合は、傷の汚れや予防接種の状況について医科への相談が必要になることもあります。

なお、転倒時に口の中へ土や異物が入り込んだ場合は、傷の洗浄に加えて破傷風ワクチンの接種歴を確認することがあります。必要性は傷の状態や接種状況で異なるため、歯科医師から医科への受診を勧められた際は早めに相談してください。

歯科医院では、歯の揺れや位置、噛み合わせ、歯茎や唇の傷を確認し、必要に応じてレントゲン撮影を行います。ただし、外傷直後には異常が画像に表れないこともあるため、初回の診察だけでなく、その後の経過観察が大切です。

◎治療後も定期的な確認が必要

ぶつけた歯は、いったん症状が落ち着いても、後から神経の働きが失われたり、歯の根の周囲に炎症が起きたりする場合があります。特に成長途中のお子さまでは、乳歯の外傷が後から生える永久歯に影響する可能性もあるため、指示された時期に受診してください。

歯を固定した場合は、装置を舌や指で触らず、外れたときは早めに連絡してください。処置後に腫れが急に強くなる、膿が出る、発熱する、歯の色が変わる、噛むと痛みが増すといった変化があれば、予約日を待たずに受診します。保護者の方が毎日同じ明るさで写真を残しておくと、色や腫れの変化を比較しやすくなり、受診時に役立ちます。

受傷後しばらくは、歯磨きの際に患部を強くこすらず、やわらかい歯ブラシで周囲を清潔に保ちます。ただし、怖いからと歯磨きを中止すると汚れがたまり、歯茎の腫れにつながります。スポーツや転倒の可能性が高い遊びは、歯科医師の許可が出るまで控えましょう。症状や治療内容によって注意期間は異なります。

まとめ

お子さまが転んで歯をぶつけた場合、歯が欠けた、歯が抜けた、位置がずれた、強い痛みや出血があるときは早めの受診が必要です。見た目に異常がなくても、神経や歯の根に影響していることがあります。ウィズ歯科クリニックでは、お口の状態を確認し、必要な処置と経過観察をご案内します。迷ったときは小児歯科へご相談ください。

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