【症例】前歯の見た目と機能を高度に回復|骨造成(GBR)を先行した審美インプラント治療

こんにちは。千葉県柏市、イオンモール柏向かいにあるウィズ歯科クリニックの国際口腔インプラント学会認定医の小川です。

インプラント治療において、最も高い技術と繊細なデザインが求められるのが「上顎前歯部(上の前歯)」です。前歯は会話や笑顔の際に最も目立つため、単に「しっかり噛める」という機能面の回復だけでなく、天然歯と見分けがつかないほどの自然な美しさを再現する「審美性」の追求が不可欠となります。

しかし、前歯部の骨は元々非常に薄く、抜歯した後はさらに骨が吸収されて痩せてしまう傾向にあります。今回は、数年越しの再会を経て、骨が著しく不足していたものの、まず骨造成手術(GBR)を先行して行い、デジタル技術を駆使して審美と機能を高いレベルで両立させた40代女性の症例をご紹介いたします。

◆カウンセリング・診断結果

患者様は40歳代の女性で、「上の前歯の見た目を綺麗にし、しっかり固定式の歯で噛めるようにしたい」という主訴で来院されました。

実は、こちらの患者様は数年前に一度当院に相談にお越しいただいた経緯がありました。当時は「左上2番」の歯に硬質レジン前装冠(プラスチックの被せ物)が入っていましたが、根元からぐらぐらと揺れている状態でした。当院からは、抜歯と同時にインプラントを埋入することで骨の吸収を最小限に抑える「抜歯即時インプラント」をご提案いたしましたが、その際は治療に踏み切られず、一度様子を見ることになりました。その後数年が経過し、「やはりしっかり治療したい」と再度当院を選んで来院してくださったのですが、その時にはすでに他院で該当の歯が抜歯されてしまっている状態でした。抜歯から年月が経過していたため、当然ながら抜歯即時の適応にはならず、精密検査(歯科用CTおよび口腔内スキャン)の結果、以下の深刻な課題が明確になりました。

ン)の結果、以下の深刻な課題が明確になりました。

・重度の骨吸収(骨不足): 抜歯後の経過期間が長かったことに加え、元々の骨の薄さも災いし、インプラントを埋入するための骨の幅・高さが著しく減少している状態。

・審美性の危機: 上顎前歯部はスマイルライン(笑ったときに見える歯肉のライン)に直結するため、骨や歯肉のボリュームを確実に戻さなければ、左右非対称で不自然な見た目になるリスクが高い。

患者様からは、「前歯なので、最終的にどのような見た目になるのかが一番不安。できるだけ自分の顔立ちに馴染む、自然で綺麗な歯にしたい」という切実なご要望をいただきました。そこで当院では、最終的な歯の形や並びについて、患者様の理想やこだわりを細かくヒアリングし、二人三脚で寄り添いながらゴールを設定していくことといたしました。

◆行った提案・治療内容:骨基盤の再構築とデジタルワークフロー

当院では、骨が痩せてしまった難症例の審美領域インプラント治療を安全かつ確実に成功させるため、最新のデジタルワークフローに基づいた包括的治療計画を提案しました。

1.術前シミュレーションと寄り添うゴール設定

治療のファーストステップとして、口腔内スキャナーのデータとCTデータをコンピュータ上で統合し、画面上で「術前シミュレーション」を実施しました。最終的な理想の歯の形(ゴール)をデジタル上で設計する際、患者様にも実際の画面を見ていただきながら、歯の長さや傾き、ボリューム感などを一緒に確認。患者様のご希望に徹底的に寄り添いながら、納得のいく最終形態の設計図を完成させました。

2.骨造成術(GBR)の先行実施

インプラント体を強固に支えるための骨が大幅に不足していたため、まずは骨を作る手術である「GBR(骨再生誘導法)」を先行して行いました。不足している部分に人工骨を補填し、特殊なメンブレン(膜)で保護することで、インプラントを埋めるための健全な骨基盤をじっくりと構築します。

3.サージカルガイドを用いた精密埋入術と仮歯の同時セット

GBRの手術後、骨が十分に成熟するまで約6ヶ月の治癒期間を設けました。 骨がしっかり出来上がったことを確認した後、インプラント体の埋入手術を実施しました。事前に決定したシミュレーションデータを100%忠実に再現するため、患者様専用の「サージカルガイド」を作製。これにより、理想的な位置・角度・深さへ0.1ミリ単位の精度で安全にインプラントを配置しました。さらに、患者様の「前歯がない期間を作りたくない」というご要望に応え、埋入と同時に事前のシミュレーションに基づいた精密な仮歯をその日のうちにセットしました。

サージカルガイドについては詳しくは右ボタンをクリック→

  

    治療前CT         GBR後CT      インプラント埋入後CT

 

                        GBR後お写真

◆術後の経過・現在の様子

インプラント体埋入術の際、インプラントの安定性を客観的に評価する「ISQ(インプラント安定指数)」を計測しました。ISQ値が極めて高い数値を正確に示しており、初期固定が非常に良好であることがデータとして裏付けられたため、安心して当日の仮歯セットへと進むことができました。

埋入手術から2ヶ月後、歯肉の治癒状態に合わせて仮歯の微調整を行いました。これにより、天然歯のような自然な歯肉の立ち上がり(エマージェンスプロファイル)を形成し、「審美性」をさらに高めていきます。

その後、埋入手術から通算して3ヶ月後(骨とインプラントが完全に結合したタイミング)に、最終的な被せ物を作るためのインプラント上部構造の型取り(印象採得)を行いました。その後、精密に作製された最終上部構造(ジルコニアクラウン)を装着し、すべての治療が完了しました。

現在、最終的な歯がセットされた状態ですが、隣の天然歯と見分けがつかないほど自然な透明感と美しい歯肉のラインが再現されています。患者様とカウンセリングでじっくり話し合い、寄り添いながら決定した理想の形がそのまま具現化されたことで、患者様からは「最初は抜歯されてしまってどうなるかと思いましたが、私の希望を細かく聞してもらえたので、イメージ通りの綺麗な前歯になって本当に嬉しい。毎日鏡を見るのが楽しみです」と、心からの笑顔と高い評価をいただきました。

◆この治療のリスク

治療期間の長期化: 骨造成(GBR)を先行して行う場合、骨が成熟して強固に定着するまでに約6ヶ月の治癒期間が必要となるため、通常のインプラント治療に比べて総治療期間が長くなります。

・高度な技術の必要性: 前歯部の審美インプラントおよびGBR、さらにはISQ値を基準とした即時仮歯の運用には、術者の高い技量と緻密な事前シミュレーション能力が不可欠です。

・メンテナンスの徹底: 美しい歯肉のラインとインプラントを長期的に維持するためには、毎日の正しいブラッシングと、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケア(メンテナンス)の継続が必須となります。

◆まとめ

本症例のポイントは、一度はタイミングを逃し、他院で抜歯されて骨が著しく痩せてしまった難症例に対して、まずGBRによって十分な骨量を確保し、「術前シミュレーション」と「サージカルガイド」というデジタルアプローチを駆使することで、安心・確実な治療を行った点にあります。また、客観的なデータ(ISQ値)に基づいた安全な仮歯の即日セットにより、治療期間中も前歯の審美性を損なうことなく進めることができました。

何より、患者様ご自身の「こうありたい」という美意識やご希望に徹底的に寄り添い、共にゴールを作り上げたことが、今回の素晴らしい治療結果へと繋がりました。

ウィズ歯科クリニックでは、国際口腔インプラント学会専門医が在籍し、最新のデジタル設備を背景に、審美性と安全性を徹底的に追求した治療プランをご提案いたします。「前歯の見た目で悩んでいる」「骨が足りないと言われた」という方も、諦めずにまずは無料相談にてあなたのお悩みや理想をお聞かせください。

動揺した前歯と奥歯の欠損をインプラントで改善した症例

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